2024年度の栽培記録をまとめたページとなります。
丹波篠山黒大豆栽培は、1年を通じ細やかな管理が欠かせません。昨年は、夏の猛暑に「9月」「10月」に入っても残暑厳しく収穫量が激減した年でもありました。さらに、大きな問題となったシカによる獣害被害で、1000株もの苗が一晩で食い荒らされ何も残らない目を疑うような光景を経験しました。
今年も例年通り、冬の間に土づくりを行い、6月に入り種まきをし苗の定植を行い、夏には雑草・害虫・台風対策を経て、実りの秋には黒枝豆の収穫を迎え、12月に黒豆の収穫をして1年間が終わります。自然と向き合いながら、農家ならではの苦労や工夫を費やし、美味しさを追求する奮闘ぶりを記録しています。
2025年度の栽培風景や作業風景を詳しく見たい方は、「2025年度 栽培風景」をご覧ください。
目次
丹波篠山黒大豆栽培は土づくりから
1月~5月に行う主な作業
- 収穫を終えた畑から畝を崩す
- 2月頃までに、アズミン散布を行う
- 毎月一回は、耕うん作業を行う
- 獣害対策
- 5月中旬頃までに、元肥散布(セルカ粒状・パワーリン)
- 畝を立て、定植準備






主な目的
- 植物が必要とする窒素・リン・カリウムなどの栄養素が充実し、成長と発育を促進
- 有機物が豊富な土壌では、微生物の活動が活性化し栄養素が分解・循環し、植物が吸収しやすくなる
- 微生物の活動が盛んな土壌では、腐植の形成が促進され、団粒構造が改善される
- 保水性や通気性が向上し、根の生育が促進され作物の品質向上につながる
- 獣害被害を避けるため、電気柵の点検・補修などを行い獣害に備える
丹波篠山黒大豆栽培の成功に向けて!(6月~9月)
6月 苗づくりと定植
- JAより種子購入
- 6月上旬にセルトレイに種まき(予定:1万粒)
- 芽が出るまで土が乾かないように陰で管理(3,4日間程度)
- 芽が出たタイミングで苗床に移動
- 毎日朝夕に水やり管理(10日間程度)
- 本葉が開きかけ、10㎝ぐらい成長したら畑に定植






ポイント
- JA種子は丹波篠山市民にしか購入できない
- 播種時は、種の「へそ」と言われる部分から根が出るので下にして蒔くと、上からは芽がストレスなく伸びるので発芽率が上がる
- 種まき直後は、水をたっぷり与え、それ以降発芽するまで水は与えない
- 種子時に水をやりすぎると、土の中で種が腐りやすくなる
- 発芽後は苗床に移動し、朝夕たっぷりと水を与える
7月 土寄せ・病害虫対策
- 追肥を行う(黒豆スペシャル)
- 追肥後、土寄せを最低2回は行う(但し、天候・生育条件が良ければ3回目を行う)
- 土寄せ後、防除作業を行う
- 排水性を高める
ポイント
- 追肥を行うときは、株間に散布する
- 土寄せは、倒伏防止・土壌内に酸素の供給・除草対策になり、根に栄養素が効率よく吸収させ作物の成長を促進させる
- 梅雨時期が過ぎるまでは、土壌が湿った状態が続くと病原菌が発生しやすく、立ち枯れ病を発症するので防除を行う
- 畑内に水が溜まらないよう、畝間の整備を行い排水性を高める






8月 台風対策・追肥・病害虫対策
- 株間に支柱立て
- マイカー線張り
- 追肥(NK化成2号)
- 畝間灌水
- 防除作業






ポイント
- 支柱より苗が低い方が作業しやすいため、最後の土寄せが終わったら立て始める
- 黒大豆は70㎝前後成長するので、台風等による雨風が強いと倒伏してしまうためマイカー線を張り支えてあげる
- 追肥は、株もとに蒔く
- 日照りが続くと土に水分がなくなり、生育に悪影響を与えるため土の状態を確認し畝間灌水を行う
- 農薬を散布するときは、注意事項をよく読みルールを守って使用する
9月 病害虫対策・草刈り
- 日々観察を行う
- 雑草を放置すると畑一面雑草だらけになり、害虫の住処となるため草刈りを行う
- この時期になると、害虫が活発になり特に「ヨトウムシ」や「カメムシ」が大量発生を防ぐため2回防除を行う






ポイント
- 観察は日々行い、生育状況や害虫の発生度合いなど確認する
- ヨトウムシは、9月上旬に葉の裏に卵を産むので見つけたら除去するが、孵化すると「あっ」という間に大量発生する
- 日々の観察で、一つの畑に2,3匹ヨトウムシを見かけたら素早く防除を行う
- 雑草だらけの畑は、害虫の住処になりまた収穫時に円滑に進めることが出来ないので、除草対策は必要
- 9月下旬ごろにカメムシ防除する
丹波篠山黒大豆栽培も大詰め(10月~12月)
10月 黒枝豆収穫
- JA・小田垣商店へ出荷(枝付き)
- kakokafe(カコカフェ)へ出荷(さや豆)
- 収穫体験(現地畑にて)
- 通信販売






収穫時のポイント
- 10月上旬:まだまだ生育途上で、実のふくらみ・甘味・旨味も物足りない感じで青臭さが残る
- 10月中旬:朝晩の気温差が大きくなり、雨が降るたびに、実のふくらみ・甘味・旨味が増してくる
- 10月下旬:実のふくらみもピークを迎え、莢が黄色く色好き始めたころ成熟期に入り甘味・旨味はもちろん「コク」も味わえる
11月 黒大豆成熟期
- 全体の8割ぐらいまで黄色くなるまで自然乾燥
- その後、葉落としを行いさらに自然乾燥
- 収穫して畑内で島立てをして天日干し






ポイント
- 全体が黄色くなる前に葉落としすると、黒豆に「しわ」「割れ」を生じやすくなる
- 葉落としは、葉が黄色くなればなるほど落としやすい
- 収穫時期は、莢を揺らすと中で黒豆が「カラカラ」と音が鳴る頃が良い
- 島立てをする時、根元を上にして通気性が良くなるように3,4本ぐらい合わせて立てる
12月 黒大豆出荷
- 乾燥機がけ
- 脱穀
- 選別(大きさ)
- 手選別
- 出荷






ポイント
- 運びやすいように10本前後束ねる
- 乾燥機がけは2日間行い、一気に温度上げると「割れ」が生じるので、1日目は18度、2日目は25度まで上げていく
- 脱穀機は回転しているところに枝を入れるので、巻き込まれないように注意する
- 選別機は、大きさを分けるだけのものなので間違えないように管理する
- 手選別では、われ、しわ、皮の剥け、異形などを取り除く
2024年度 丹波篠山黒大豆栽培を終えて
2024年度も荒木農園のお楽しみいただき、誠にありがとうございました。黒枝豆の収穫からお正月の黒豆販売に至るまで、多くのお客様に支えら無事一年を締めくくることができました。
今年の栽培を振り返ると、天候の影響や生育管理の課題など、様々な試練がありました。特に天候に関しては、夏の猛暑そして残暑厳しく10月頃まで30℃の日が続くという異常気象、生育管理に関しては、苗づくりの難しさ、獣害被害といった影響で一部の圃場では思うように収量が上がらなかった場面もありました。
この経験を踏まえ、2025年度はさらに品質を向上させ、皆様により良い黒枝豆・黒大豆をお届けできるよう頑張ってまいります。
土づくりや管理方法の見直し、収穫体験の充実など挑戦を続けてまいりますので、来年もぜひご期待ください。
改めまして、2024年度も荒木農園をご愛顧いただき、ありがとうございました。2025年度もどうぞよろしくお願い致します。